多指症⑭術後の経過~7ヶ月目までの様子
手術から7ヵ月たちました。これまでの経過を説明します。
・手術から11日目
通院。浮遊型で手術の簡単だった右手の包帯が外れる。ギプスをしている左腕のわきの下が擦れて皮膚が赤くなっていたので、その部分だけギプスを切り取ってもらう。
・手術から15日目
通院。ギプスが外れる。手術した親指付近が、普通の倍くらいの太さに腫れている。親指の先端から、神経の固定のために挿していたワイヤーを抜き取る。太めの針を抜く感じ。本人は痛くない様子。抜いた後も、針が刺さったような跡で、消毒してから普通の絆創膏を貼ってもらう。先に包帯が外れていた右手の傷はほぼ閉じたのでもう何もしない。
・手術から43日目
通院。経過観察。浮遊型の右手は少し縫い跡があるが普通の親指と変わらない。神経の移動をした左手の親指はまだ腫れが残っていて動きが鈍い。第一関節の上の部分に力が入っていない。滑り台に上るときのように手でつかむ場合は、左手の他の指や全体の動きを使って一見うまくできている。一方で小さな物をつまむような指の先を使う動きは、左手では難しいよう。力を抜いている時も、力が入っている時も、親指と人差し指の間が開かずに、二本の指を平行に並べた状態。診察の際に相談。第一関節が固く動きずらくなっているのかも、ということで指先を優しく曲げたり伸ばしたりする簡単なマッサージを教えてもらう。以降気づいたときに定期的に行う。
・手術から7ヶ月後
通院。手術後はじめて左手のレントゲン撮影。浮遊型の右手は特に気になる点なし。左手は当初の腫れは引いた。親指と人差し指の間は閉じているときもあるが、積み木を持つ際、物をつかむ際は半分くらいの割合で二本の指の間を広げて、指を輪っか状にして上手に持てている。手をつなぐ際は、左手が輪っか状になるつなぎ方を親の方が意識的にするよう心掛けている。小さな物を摘まむ作業は第一関節の曲がり方がすこし甘くても今のところできている。指先を使っている時はきちんと力が入れられるようになり肌色が白っぽくなる。
・手のひらの親指の下の部分が出っ張っているのは、骨?
→レントゲンだと骨はそこにはないので神経だということ。
・指の開き方が弱いので、なにか良いトレーニングは?
→おもちゃで遊ばせるのが一番とのこと。
娘、この半年余り、人見知りのため診察室に入るだけで大泣きして、できるだけ母親の私から体を離さないようにしがみついています。小さいものがうまく摘まめるかどうか先生に様子を見せる余裕が本人にないため、また半年後(二歳!)に再診の予定になりました。
多指症⑬術後の印象『こどもはすごい』
手術のあとで私が感じたことは
”こどもの生命力ってすごい”
の一言に尽きます。
術後は、きっと手術の痕が痛かったり不快だったりで泣き続けるだろう、つぎに娘の笑い顔を見られるのはいつだろう、と真剣に思っていました。
が、終わってみると、それはわたしの大きな勘違いだったようで。翌日には退院、さらに次の日には自宅の廊下で歩行器に乗りビューンとスピードを出し、ケラケラ笑っている娘の顔と再会したのでした。
なんだ・・・
笑ってるじゃん・・・w
手術の翌々日、四つ葉ちゃんが産まれてから10カ月あまりの間、ずっとずっと心配していたことが一つ、すーっと消えてなくなったのを感じました。
驚いたことはもう一つあります。
手術後一週間もしないうちに、娘が以前よりたくさん歩けるようになったことです。
兄弟で四番目の娘は、人一倍活発で、0歳10か月の頃にはすでに2、3歩歩けるようになっていました。
当時のわたしはその様子を見ながら『今は歩けているけれど、腕一本おもたいギプスで覆われたら、バランスをとって歩行できるわけがない。せっかく歩けるようになったけれども、たぶん少し運動能力は後退するだろう。せめて写真に残しておこう』と思い詰めるような気分でいました。ギプス付きの腕ではすいすい伝い歩きも難しいだろう、かと言ってハイハイはギプスの固定が外れると先生からも注意されているし、、、
ということで入院当日に歩行器をネットで注文していたのでした。しかし蓋を開けてみると、手術から3、4日もしない内に歩行を再開し、3、4、5歩と順調に歩ける距離を伸ばしていきました。手術から3週間後、ギプスと包帯がすっかり取れた頃には、靴を履いて近所の公園をトコトコ歩くほどになっていました。
こんなわけで、「歩けるわけがない、笑えるわけがない」と思っていた私の思い込みは全部手術後の三日間で払しょくされることになりました。本当に子供の適応能力、生命力ってすごい!!!
多指症⑫手術のために用意した物
手術後は2、3週間ほど両手が包帯でグルグル巻きになるため、対策としていくつかの物を準備しました。
・おしゃぶり(6~18カ月の赤ちゃん用サイズ)
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いつも指しゃぶりをしている時期で、両手同時に手術だったので、おしゃぶりを一ヶ月前に購入しクリップでスタイにいつもぶら下げていました。術後すぐはたまに吸っていましたが、こちらが思ったようには使ってくれませんでした。それよりも指しゃぶりのつもりで包帯の方の手を口に持っていき、すぐに包帯が濡れるので、1日に数回包帯を取り替えていました。
・子供サイズの軍手
すぐに包帯までよだれが到達しないように、木綿製の子供軍手を裏返しのグーの形にして、包帯の上から被せていました。軍手も1日に何回か交換。100均にもありました。
・歩行器(2000~3000円)
上記と同じものではありませんが、似たような価格帯の一番シンプルな物を購入しました。手術後ギプスの重さでバランスを取るのが難しくなり、よちよち歩きが出来なくなるだろう、病院からはギプスが外れるのでハイハイも不可と注意されていたため、移動手段の代替え用です。
退院当日に乗せてみたら、車輪で素早くシューンと移動できるため、大喜びで乗って色んな部屋に移動していました。が、それもつかの間、翌日には私の予想を大きく外して、ギプスをつけた腕のままで一人歩きを再開しました。更にギプス装着の2、3週間の間はハイハイができなかったため一人歩きが格段に上手くなり、手術前よりも長い歩数を歩くようになっていました。結果、組み立てから1週間もしないうちに、歩行器は元の箱に片付け、すぐリサイクル店に持ち込むことになりました。
・袖を切っても良い前開きの子ども服
片腕の肩から指の先まではギプスで固定されていたので、洋服を被せるために腕を上げさせることができませんでした。そのため、伸縮性がある前開きの形の長袖服をリサイクルショップで探してきて、ギプスが通せるように袖を切り取ってから着せていました。リカちゃんに服を着せるような要領で、後ろにボタンのついたデザインの服も利用しました。数枚用意しましたが、普段の服の枚数にはとうてい足らず、短い期間なので多少不自由だけど目を瞑ることにしました。11月に入っており、寒い中を袖なしの薄着で移動するには心細かったため、出来る限り外出を避けました。
先天性異常を持った子の本
多指症の娘が産まれてから初めて読んだ本を二冊ご紹介します。
『さっちゃんのまほうのて』
この本は先天性四肢障害児父母の会の方が発起人となって作られたそうです。右手の指がない障害を持って産まれた主人公のさっちゃんが、障害を受け入れ力強く生きていこうとするお話です。図書館の棚で見つけてすぐに手に取り、横にあった椅子に座って読みながら少し涙が滲みました。
自分の娘は、同じ先天性四肢障害でも指の数が普通より多いケースで、この本のさっちゃんとは違った状況です。でもね、作中でお父さんがさっちゃんの手は”まほうのて”なんだよ、と話すシーンを読んで、自分が感じたのと同じだなと思いました。
娘の指がほかの子供よりも多く産まれてきた後で、今まで感じたことのなかったいろんな人の細かな感情の動きがわかる場面があったり、今まで知ろうとしなかった人の気持ちの一部を想像できるようになりました。手の形に限らず、産まれつき他の子と違う何かを持って産まれてきた人やその人の家族の気持ちが前よりも想像できるようになりました。私だけじゃなく、この本を別の日に自分で借りてきた一年生の姉もそうだし、ほかの兄弟や父親もそれぞれに少しずつ似たような体験をしたと思います。当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないと気付いたり、私たち人間も広く地球のほかの生物と同じような生態系を持っている、なんて風に考えたりするようにもなりました。自分や家族やとりまく人たちの優しさや強さや賢さ、繊細さもギュッと身近になりました。それに寝る前に布団の上で娘の小さな手を握ると、自分も何だか特別なパワーをもらった気分になります。
この手は魔法の手だな、と感じたことがわたしも何度もありました。
『ワンダー Wonder』
この本も数年前に大ヒットした本のようでしたが初めて手に取りました。小学生の高学年ならもう読めるくらいの文章かな。
産まれつき顔に障害のある男の子が初めて学校に通うことになり、そこでの友達とのエピソードや家族との話が綴られています。この話はフィクションで、作者の方も先天性異常を持っていたりするわけではないようなので、あくまで想像の話なのでしょう。それでも自分の知りたいことが書いてあるような気がして、一気に一晩で読みました。
顔と手では部位は全く違うけれども、「産まれつき人と違う形」をしていることで、他人から受ける驚嘆、嘆息、様々な言葉がけや接触の仕方などに、親である自分もホトホト疲れた・・・と思っていた時期があったので、娘がもっと大きくなって自分で人と話すころになったら、どんな印象を受けるのだろうかということが気になっていたのです。その頃には「産まれつき人と違う形をしていた」という過去形にはなるのだろうが、本人はどんな心情なのだろうと。
私自身人見知りではないし人と話すのは好きなのですが、いちいち誰かに会うたびに驚きからスタートする、という状況はなかなか煩わしいものです。その反応が「悪くない感じ」であっても、「ちょっとモヤモヤする感じ」であっても、こう毎回毎回だと億劫になります。ごくたまに「あ、多指症ね。知り合いにいるわ」とか「甥っ子もそうだよ」と驚き具合が著しく控えめな人に会うと嬉しくなったり・・・この本の主人公目線で語られている部分にも同じように他人から受ける驚きの反応についてアレコレ書かれていて(フィクションだし部位が違うとはわかっているが)なるほどなぁ、と思いながら読みました。
多指症⑪手術当日
術前検査から10日後、四つ葉ちゃんはまったく風邪もひかず元気な様子で入院日を迎えることができました。
手術の入院日程は
1日目 朝10時 入院
2日目 手術
3日目 退院
という思っていたよりもずっと短いものでした。
入院1日目
9時半病院到着。用意してきた書類一式を受付で提出した後、入院診察で体調の最終確認をする。四つ葉ちゃんは手足口病が感知してか3週間経過していたが、4週間は排泄物から感染する可能性があるとのことで、個室に入院。転落防止のため四方を高い格子で囲む形のベッドでした。明日の最終的な説明と確認などのため、看護師さん、整形外科の担当医さん、麻酔科の先生などが入れ替わり立ち替わり、部屋まで訪問。
この病院では完全看護で保護者が帰宅して不在の間は、看護師さんや常駐の保育士さんが代わりに世話をしてくれることになっていました。が、両親は24時間面会OK、つまり24時間そばにいても良いということがわかり、人見知りの激しい四つ葉ちゃんが大泣きするのはわかっていたので、それならばと退院まで私がずっと付き添うことに決めました。
昼過ぎに先生や看護師さんの話が終わった後、旦那に付き添いを交代してもらい、大急ぎで自宅へ戻りました。シャワーを浴びて、2日分の着替えなどをバッグに詰めてとんぼ返りしました。
持ってきたおもちゃをベッドの上に広げたり、ちょっと前に準備したおしゃぶりを吸わせたり、備え付けのテレビでEテレを一緒に見たりして時間をつぶしました。あとは暇だろうなと思ってナンプレも買ってきたけど、なんだか落ち着かなくて、ほとんどやりませんでした。全身麻酔をかける何時間前からは絶食、水分は何時間前など細かく決まっていたので、それだけ看護師さんがときどきチェックに来てくれました。夕方、個室にベビーバスを運んできてくださり(感染症予防で普通のお風呂がNGだった)、四つ葉ちゃん入浴タイム。病院の離乳食は毎回4~5品ほどで、出汁も効いていてとろみがついている模範的な後期離乳食メニューでした。おうちでは手抜きとお取り分けのみ通してきたけど、たまには四つ葉ちゃんにもこうやってちゃんとした離乳食を作ってやらなきゃと反省しきり。
自分の夕飯を取り終わってから、旦那にはいったん帰宅してもらい、ほかの兄弟の面倒を見てもらいました。
入院2日目
その日1番目の手術の時間になり、8時半~9時に四つ葉ちゃんを抱っこして、看護師さんと一緒に別の階にある手術室まで移動しました。小児専門の病院だけあって、病棟全体がそうなのですが、どこかの児童センターに来たような素敵な内装になっていました。手術室は特別仕様で、入り口の天井にも廊下の壁にもいたるところに絵本のような絵が描かれていて、お話の国に来たような気分になる場所でした。入り口ではカラフルな服装をした麻酔担当の方が数名待っていて、ポータブルの画面に子供向けの動画を見せながら、本人が泣く前に、上手に抱っこを交代してくれて、私たち両親はそこからお部屋に入っていくのを見てから、待合室に移動しました。
手術は2時間ほどで、全身麻酔から覚めるとともに看護師さんが呼びに来てくれました。看護師さんと一緒にもう一度手術室の前に行くと、まだ朦朧とした状態の四つ葉ちゃんが出てきました。予定通り左腕はギプスでぐるぐる、右手は手袋大の包帯です。そのままエレベーターに乗って元の個室に戻りました。
全身麻酔の後の子供の様子にはビックリする、心して行ったほうがいい、と読んだことがあったので、なんとなく構えていました。普段眠っている時は、抱っこされると少しだけ自分の方に体を預けてくるような感覚がありますが、全身麻酔の後は体全体がグタンとしていて、そういう感覚がありませんでした。「大丈夫、だんだん意識も戻って体も元に戻ってくる」と頭では理解していましたが、とても不安な心地がしました。しかしそこから1、2時間かけて徐々に普段通りになってきました。その間、なかなかベッドにおろすことができず、四つ葉ちゃんを膝の上にお座りさせて人間ソファになったような感じでした。
さてその後どうなったか、思い出そうとしているのですが、だんだんと記憶があいまいになってきました。おそらく前の晩、あまり眠れずに寝不足だったのと、無事に手術が終わってほっとしたのでボーっとしていたのかもしれません。手術後の話を詳しく書こうと思ったのですが、覚えていることだけにとどめておきます。
とても意外だったことが一つありました。
それは手術後は痛み止めを一切追加しなかったことです。指を取るような手術をしたんだから痛いに決まっている、泣き続けるに違いないと思っていたのですが、どうやら自分の勘違いだったようです。看護婦さんに痛み止めは?と尋ねると、赤ちゃんは痛覚が未発達で、痛みをあまり感じないのだそうです。ええーっ!?本当に?と半信半疑でしたが、確かに、麻酔が切れた後の四つ葉ちゃんを見ていても著しく不機嫌になっていないし、泣いてもいないし、手がぐるぐる巻きで不自由だ!という以外に、痛そうな様子は少しも見られませんでした。とても意外でした。
手術が終わってみてわかったのは、わたしは38年の人生経験から「指を一本切り取ったらこーぉんなに痛いに違いない」と思い込んでいて、四つ葉ちゃんが産まれてからほぼ10カ月間、「そんなに」痛い目に合わなければならない四つ葉ちゃんを可哀そうと思ったり、手術の前の日なんかは「こうやって普通に笑っている顔を見られるのは次はいつだろう」とか気に病んでいたのですが、どうやら全く見当違いな心配だった、ということでした。
手術後、四つ葉ちゃんは麻酔から完全に冷めて、その後すこし昼寝もしました。夜になるといつも通りの機嫌の良さでした。が、しかし、普段とは違うことに片腕は完全にギプスで覆われ「く」の字型でぴくりとも動かせず、もう一方の腕の動く方の手も、包帯とネットで覆われている状態で、それがどうにも気になって仕方がない様子でした(だよね)。ギプスの方は諦め、盛んに包帯だけの方の手をなめ、すぐによだれで包帯びっしょりにしてしまうので、夜間も看護婦さんが新しい包帯に交換してくれました。
入院3日目
午前中のうちに担当の先生が来て退院診察をしてくれました。退院後はくれぐれもギプスを濡らさないよう、外れるような衝撃は絶対に与えないよう、あとは普段どおりで、と簡潔な指示でした。四つ葉ちゃんは当時0歳11カ月でハイハイと伝い歩きの真っ最中で手術の2週間くらい前からやっと一歩二歩独り歩きを始めていました。が、ギプスのために術後はハイハイしない方がいいとのことでもあり(ぬぉーん、ハイハイしないってどうやって生活できるかな・・・)と検討した結果、数日前にネットで歩行器を自宅配送手配済みでした。歩行器のってくれるかな・・・
ハイハイさせないってことは、うちの中でもずっとオンブして過ごせばいいのか?だけどそれだと運動不足で機嫌が悪くなりそうだし・・・だいたい片腕全体が固定されたまま抱っこ紐に入れられるのか?
など考えながら迎えに来てくれた旦那の車で帰宅。
さて退院前には気になるお会計がありました。
簡潔にまとめるため、次ページにてご報告します。
多指症⑩手術前検査
手術が終わってから3カ月以上も経過してしまいました。
記憶がところどころあいまいになってしまったのですが、すっかり書きそびれてしまったので、覚えている範囲のことを順を追って説明します。
無事に手足口病が収まって一週間後、四つ葉ちゃん、わたし、旦那の三人で再び病院を訪れました。手術の10日ほど前のことです。3か月前、手術日が決定した際に受け取った入院・手術の書類を持参しました。
この日はまず整形外科の担当医の先生から手術の進行について詳しくお聞きしました。
四つ葉ちゃんの病名は「両側母指多指症」です。
右手は、親指の脇に大豆のような大きさの6番目の指がぽろんとぶら下がっています。これは手術では接合部分だけを切り取って数針縫い合わせるのみで済みました。
左手は少し複雑で、普通の親指(5番目の指)の付け根からもう外側に向かってもう一本すこし細めの同じくらいの長さの指(6番目の指)があります。骨も爪も神経もあります。こちらの手術は、一度6番目の指の中から神経を取り出して、それを5番目の残す方の親指の神経とつなげてから、6番目の指を切り落とす、という作業でした。移行された神経が完全にくっついて離れなくなるまでの2~3週間、5番目の親指のてっぺんからワイヤーを刺して固定します。その間、ワイヤーがずれたり外れたりは絶対にあってはならない事なので、左腕全体をギプスでガチガチに固定するということでした。
整形外科での説明の後は、麻酔科に移動して20分ほどの診察と説明を受けました。あらかじめ頂いていた書類で全身麻酔の説明書に加えて、さらに詳しく当日の流れや合併症・副作用について説明を受けました。また、手足口病が完治してから何日経過したか、風邪は引いていないか、特に咳や鼻水がないか聞かれました。咳は出なくなってからも2週間くらいは気管が過敏になっているため、全身麻酔をしている途中に鼻水が喉に落ちてきたりすると大変なことになる、軽い風邪でも全身麻酔では問題になるとわかり、ぞっとしました。秋口だったため、他の兄弟達が残りの10日間風邪を家に持ち込まないように、と心から祈りました。
それから神経ブロックについての確認がありました。四つ葉ちゃんの場合は、全身麻酔に加えて左側だけ腕神経叢ブロックもするが、それで良いかどうかの確認でした。もちろん細心の注意を払って麻酔をかけるけれども、神経ブロックは麻痺やしびれなどの後遺症を残すことがあり、1才児は体のすべてのパーツが小さい分そのリスクがないとは言いきれない。骨を削る場合はかなり痛みがでると考えられるので、神経ブロックはやっておいた方が痛みは出ない。反面、もし痛みがでてもそれは術後しばらくだけの事でやり過ごすことができる、というようにも捉えられる。私は全く無知だったのであれこれ質問しましたが、麻酔科の先生は一つ一つ丁寧に答えてくれました。そして、これだけ細かく説明をしている病院で行われるのであれば、本当に細心の注意を払ってくれるに違いない、と感じ神経ブロックもしてもらうことにしました。
1時半から整形外科、麻酔科での手術前検査を無事に終えて、病院を出たのは4時前でした。
『はてしない物語』原作"Die unendliche Geschichte"
映画好きのための「ニューシネマパラダイス」
ならば
ファンタジー物語好きのための
「はてしない物語」
と言っても過言ではないでしょう
この本のファンだった方には
ぜったいに
ぜったいに
一度オリジナル版を見てほしいです
日本語版でもそうでしたが
この本、インクの配色とストーリーがリンクしてますよね
装丁デザインでしょ、そんなのと言ってしまえば簡単ですが
こんなにファンタジー心をくすぐるすばらしい児童書はありません
そんな名作「はてしない物語」
残念ながら原作はドイツ語で、ドイツ語版なんてそうそう日本ではお目にかかれません
国内の図書館でも見たことはありません
なのでほんの少しだけ中身をご紹介します
ほんとうに素敵なので・・・
最初のページ。
Die unendliche Geschichte
と書いてあります
ドイツはグーテンベルク活版印刷を生んだ国
中世の活版文字フォント、素敵すぎ
そしてその下には
Von
A bis Z
mit Buchstaben und Bildern
versehen von
Roswitha Quadflieg
AからZまでの
文字と挿絵は
ロースウィタ・クワドフリーク画
というわけです
バスチアンが古書店の扉を押し開けるあのシーン
反転した看板文字はこんな風
各章の扉絵になっていたアルファベット
これも原作ではちゃんと各章の文章の初めの単語の最初の文字になっています。
Aは
Alles Getier im Haulewald duckte sich...
と始まる文章の“A”なんです
Zまで全部の章がそうなんですよ
Xなんてどういう単語で始めたのかと思ったら
Xayíde(サイーデ)のXでした。
なんてすてき
わたしは日本語を読んで育ちましたが
原作の原版にはやはりかなわんですな~
ドイツ語の学習者には強くお勧めしたい一冊です。
児童向けの文章なので、中級以上の方ならそれほど難解ではありません。
ドイツ語で読めて良かったぁ!!!となること間違いなし。
☆☆☆ここから先は2020年7月の追記☆☆☆
pipietanさまからコメントでお尋ね頂いた「さすらい山の古老」の章で梯子をのぼる場面のドイツ語ページです。
この場面は縦書きの日本語だと再現不能な手法で記されています。
まずは見開きで。
このページは頭から大文字の梯子で始まります。
日本語訳ではカタカナ・漢字になっています。原文の方では「!」も句読点も使われておらず、大文字のみで梯子が作られています。
この見開きだけで梯子を登り始め、登り降り、一気にバスチアンが『はてしない物語』の題字を発見して驚くところまで描かれています。
最初のページ
幼ごころの君が大文字のはしごを上っていくとき、読者の方では、逆にはしごをくだるように文を下へ読み進めています。
さらに、幼ごころの君がいったん登るのを休み、上を仰ぎ見る場面では、作中の幼ごころの君が見ているはしごはページの中では下へ向かって続き、読者の方はすでに読み終えたページを見上げることになります。
バスチアンがファンタージエンの深部にどんどん近づいていき、幼ごころの君の方のあちらの世界もこちらへ向かってぐんぐんと近づいてくる、このはしごの列を下って読み進める読者にもそのことを体験させるページとなっています。
この場面の手法、ご指摘いただくまで気づきませんでした。
読み手を巻き込みながら物語と現実の世界を交錯させる場面!すごい文章の技ですね。