四つ葉のおうち

4人の子育てよもやまばなし

先天性異常を持った子の本

多指症の娘が産まれてから初めて読んだ本を二冊ご紹介します。

 

『さっちゃんのまほうのて』

 

さっちゃんのまほうのて (日本の絵本)

さっちゃんのまほうのて (日本の絵本)

 

 

この本は先天性四肢障害児父母の会の方が発起人となって作られたそうです。右手の指がない障害を持って産まれた主人公のさっちゃんが、障害を受け入れ力強く生きていこうとするお話です。図書館の棚で見つけてすぐに手に取り、横にあった椅子に座って読みながら少し涙が滲みました。

自分の娘は、同じ先天性四肢障害でも指の数が普通より多いケースで、この本のさっちゃんとは違った状況です。でもね、作中でお父さんがさっちゃんの手は”まほうのて”なんだよ、と話すシーンを読んで、自分が感じたのと同じだなと思いました。

娘の指がほかの子供よりも多く産まれてきた後で、今まで感じたことのなかったいろんな人の細かな感情の動きがわかる場面があったり、今まで知ろうとしなかった人の気持ちの一部を想像できるようになりました。手の形に限らず、産まれつき他の子と違う何かを持って産まれてきた人やその人の家族の気持ちが前よりも想像できるようになりました。私だけじゃなく、この本を別の日に自分で借りてきた一年生の姉もそうだし、ほかの兄弟や父親もそれぞれに少しずつ似たような体験をしたと思います。当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないと気付いたり、私たち人間も広く地球のほかの生物と同じような生態系を持っている、なんて風に考えたりするようにもなりました。自分や家族やとりまく人たちの優しさや強さや賢さ、繊細さもギュッと身近になりました。それに寝る前に布団の上で娘の小さな手を握ると、自分も何だか特別なパワーをもらった気分になります。

この手は魔法の手だな、と感じたことがわたしも何度もありました。

 

 

『ワンダー Wonder』

 

ワンダー Wonder

ワンダー Wonder

 

 

この本も数年前に大ヒットした本のようでしたが初めて手に取りました。小学生の高学年ならもう読めるくらいの文章かな。

産まれつき顔に障害のある男の子が初めて学校に通うことになり、そこでの友達とのエピソードや家族との話が綴られています。この話はフィクションで、作者の方も先天性異常を持っていたりするわけではないようなので、あくまで想像の話なのでしょう。それでも自分の知りたいことが書いてあるような気がして、一気に一晩で読みました。

顔と手では部位は全く違うけれども、「産まれつき人と違う形」をしていることで、他人から受ける驚嘆、嘆息、様々な言葉がけや接触の仕方などに、親である自分もホトホト疲れた・・・と思っていた時期があったので、娘がもっと大きくなって自分で人と話すころになったら、どんな印象を受けるのだろうかということが気になっていたのです。その頃には「産まれつき人と違う形をしていた」という過去形にはなるのだろうが、本人はどんな心情なのだろうと。

私自身人見知りではないし人と話すのは好きなのですが、いちいち誰かに会うたびに驚きからスタートする、という状況はなかなか煩わしいものです。その反応が「悪くない感じ」であっても、「ちょっとモヤモヤする感じ」であっても、こう毎回毎回だと億劫になります。ごくたまに「あ、多指症ね。知り合いにいるわ」とか「甥っ子もそうだよ」と驚き具合が著しく控えめな人に会うと嬉しくなったり・・・この本の主人公目線で語られている部分にも同じように他人から受ける驚きの反応についてアレコレ書かれていて(フィクションだし部位が違うとはわかっているが)なるほどなぁ、と思いながら読みました。