四つ葉のおうち

4人の子育てよもやまばなし

多指症⑥手術するか、しないか

多指症のことに最初は驚きましたましたが、徐々に不安も消え、自分は状況を受け入れられたしもう大丈夫と思えるようになった頃、今度は新しい迷いが生まれました。

「この手はそのままではいけないのか?」

例え話ですが、四つ葉のクローバー🍀は、四つ葉の形が完璧な形であり、綺麗に四方に葉が並んでいます。4枚の中から1枚だけ葉っぱを取った場合、それは他の三つ葉のクローバーと同じ形になるわけではなく、1枚足りない不完全な並び方になってしまいます。

うちの四つ葉ちゃんもたまたまクローバーのように他の人よりも1本多めの指で生まれたけれど、それが自然な形ならば、手術して1本切除してしまったら、本人にとっては不自然な形になるのではないか。健康である体を損なうような事をわざわざしようとしているのではないか。ひょっとして6本目の指があるからこそできる何らかの才能の芽を、私は摘もうとしているのではないか。

これは治さないと健康な生活が営めなくなる疾患とはまったく違って、「見た目」のための手術です。 形成外科の先生も、小児科の先生も、誰も私に「この手術はやらなきゃいけない」なんて言っていません。

そういう疑問でした。

この考えは夫にも自分の両親にも話しましたが、まったく同意を得られませんでした。手術はするのです。手術の時期は手指の神経が発達しきる前が望ましいので、悩んでいるから後で決める、という訳にはいきません。だから賛成派多数で、しかも私の信頼している人間の賛成が多数なので、手術は予定通りに行います。

この件は、私自身の兄弟から「自然な形のまま生きていく方がいいかもしれない、でも人間は社会で生きていくから、社会で生きていく上での摩擦が起きる。その摩擦を和らげるための手術ということね」と言われた後、少しずつ、きっとこれでいいのだ、と思うようになりました。 たしかに、会う人会う人みんなに驚かれる反応には私ですら疲れました。自分にとっては当たり前の事をいちいち驚かれるというのは居心地がよくありません。驚きの反応も千差万別で、これにまた疲れる場合もあります。

ほんの小さい柔らかい新芽のクローバーの葉を、1枚ちぎり取るところを思い浮かべます。茎に残った葉は、残った枚数のままで、出来るだけ太陽からたくさん光を吸収するために、ピンと張って大きな葉に成長するだろう、きっとそうに違いない、今はそう思っています。